高精度を追求する時計選びで、グランドセイコーの「VFA」という名前を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

VFAは1969年に発表されたグランドセイコーの特別調整モデルです。月差±1分以内の当時としては驚異的な精度を実現し、機械式時計の可能性を追求した名機として知られています。

現在は現行ラインには存在しないものの、その技術的完成度と希少性から、時計愛好家の間では今なお特別な存在として語り継がれています。

今回は、VFAの歴史的背景から復刻モデルの価値、銀パラジウム合金を使用したオリジナルモデルの魅力までご紹介します。VFAの魅力を紐解くことで、時計選びの新たな視点も得られるでしょう。

グランドセイコー VFAは今も語り継がれる名機

グランドセイコーが1969年に発表したVFAは、月差±1分以内と高精度を誇る特別調整モデルです。今も語り継がれるその背景には、精度への強いこだわりがあります。

ここでは、VFAという名称に込められた意味と誕生の経緯を見ていきましょう。

VFAは特別調整モデル

VFAは「Very Fine Adjusted」の略で、1969年にグランドセイコーが世に送り出した特別調整モデルです。

このモデルは、当時の常識を覆す月差±1分と極めて高い精度を実現しており、機械式時計の限界に挑んだ象徴的な存在でもあります。

「VFA」は、すべてのモデルに与えられた称号ではなく、厳格な検定基準をクリアした一部の特別調整品にのみ許されたもの。

当時に正確性を追求するなかで生み出された成果であり、精度面で世界水準に並ぶ象徴的なモデルです。

グランドセイコーが誇る最高精度規格としてのVFA

グランドセイコーは創業以来、精度の追求を中心に据えて発展してきました。その歩みの中で、大きな転機となったのがVFAの登場です。

機械式でありながら高精度を実現し、世界水準に挑む存在として注目されました。

VFAは、独自の精度規格のなかでも最上位に位置づけられた特別なモデルです。その精度は、当時のスイスの公的な精度検定基準をも上回る水準を誇り、「世界最高峰の実用性を備えた時計を生み出す」というブランド哲学の結晶でもあります。

VFAは、精度・品質・美意識を体現するモデルとして、現在もその精神が受け継がれています。

1970年代VFAモデルの魅力と高精度の進化

1969年の初代登場以降、VFAは1970年代を通じて、グランドセイコーが掲げる“実用時計の理想”を体現するモデルとして進化を遂げました。

精度・技術・デザインのすべてにおいて当時の最高水準を追求したVFAは、今見ても色あせない魅力を放っています。

VFAがどのようにして当時の精度基準を塗り替えたのか、その技術力の高さにフォーカスしてご紹介します。

年差±1分以内を実現した精度の革新

VFAモデルの最大の特徴は、月差±1分以内の精度の高さにありますこの精度を実現するためには、ムーブメントの部品精度や調整工程において非常に高い技術が求められます。

このためVFAのムーブメントは、選ばれた熟練技術者により丁寧に調整されており、ごくわずかな誤差にまで配慮された仕上げが施されていました。

このVFAで培われた技術は、グランドセイコー全体のレベルアップにもつながっています。精度という観点から見たとき、VFAはブランド全体の技術革新を牽引した存在といえるでしょう。

デザイン・ムーブメントに見る当時の最高技術VFAモデルは最高技術を駆使して設計されました。

ムーブメントには、高振動のキャリバーを採用し、精度と耐久性を両立。さらに、シャープなケースラインや美しい仕上げなど、外装デザインにも優れた加工技術が反映されています。

実用性だけでなく、所有する満足感を高める1本として設計されている点も大きな魅力です。

VFAのモデル例と型番

VFAには複数の型番が存在しており、それぞれに個性と希少性を備えたモデルが展開されていました。

以下より代表的なVFAモデルを3つご紹介します。

  • 61GS VFA:銀パラジウム合金ケースを採用した希少モデル。独特の風合いと上質な質感により“銀パラ”として高く評価されている。
  • 45GS VFA:手巻き・毎時36,000振動の高振動キャリバーを搭載。精度と安定性を重視した技術志向の1本。
  • 19GS VFA:女性用の小型モデルで、当時としては珍しい高精度仕様。現存数が少なく、コレクターの間でも非常に希少な存在。

上記のモデルは、VFAという称号にふさわしい精密さと特別な仕上げを備えており、現在も高い評価を受ける希少なモデルです。

グランドセイコー VFA復刻モデルに見る現代的な価値

VFAという特別な称号を持つモデルは、1970年代だけにとどまらず、現代にも受け継がれています。

ここからは、復刻に込められた思いや職人技、素材の違いについて見ていきましょう。

復刻の背景にあるブランドストーリー

グランドセイコーは創業以来、精度・品質・美しさのすべてにおいて妥協のないものづくりを続けてきました。

VFA復刻モデルは、そうした精神を今に伝える存在として誕生したものです。かつての名機をそのまま再現するのではなく、当時の開発思想や設計理念を現代の技術で再構成した特別な1本。

ブランドの歴史と哲学が凝縮されたモデルとして、本質に触れられるモデルといえるでしょう。

VFA復刻モデルに宿るクラフツマンシップ

VFA復刻モデルは、グランドセイコーが長年培ってきた伝統の職人技と、現代の技術の双方を活かして設計された完成度の高いモデルです。

ザラツ研磨による歪みのない鏡面仕上げ、極めて精密な組み立て、外装・内部構造ともに職人の技が細部にまで息づいています。

すべての工程は熟練の技術者の手によって丁寧に仕上げられており、その完成度の高さは手に取った瞬間に実感できるでしょう。

パラジウムを使ったオリジナルと復刻の違い

1969年に登場した初代「61GS VFA(Ref.6185-8010)」では、銀パラジウム合金がケース素材として使われ、その希少性と独特の質感により、“銀パラ”の愛称で親しまれてきました。

一方、復刻モデルではプラチナ950や18Kイエローゴールド、ステンレススチールなどが採用されており、素材の違いが異なる表情を生んでいます。

オリジナルの精神を受け継ぎながら、時代に合わせて再構成された素材使いも復刻モデルの魅力の1つです。

高精度を求める人がグランドセイコーのVFAに惹かれる理由

グランドセイコー VFAが今もなお多くの時計愛好家を引きつけるのは、当時では並外れた精度と完成度の高さにあります。

ここでは、実用性を重視するユーザーと、希少価値を見極めるコレクターの両面から、VFAが選ばれる理由を見ていきましょう。

実用性を追求する人にとっての精度の価値

VFAが現代でも高い注目を集めるのは、その安定した精度と信頼性にあります。

スイスの厳格な時計精度規格を上回る独自の精度基準から、当時の機械式時計としては異例の実用性を備えていました。

1日に何度も時刻を確認するビジネスシーンや、時差の調整が必要な海外出張などでも、ズレの少ない時計は日々のストレスを減らしてくれるでしょう。

このようにVFAは、日常で安心して使える高級時計として今も評価されています。

コレクターから見た希少性と満足感

VFAは1969年の登場からわずかな期間しか生産されておらず、現存数も非常に限られています。

その背景には、同年にセイコーが世界初のクオーツ時計を発表し、機械式からクオーツ式への大きな転換期を迎えたという時代の流れがあります。

なかでも「6185-8010」など、銀パラジウム合金を採用したモデルは“銀パラ”として高く評価され、素材・仕上げ・機構のすべてに、当時の最高水準の技術が活かされた時計です。

こうした背景を知ったうえで手に取るVFAは、語る価値のある1本として、多くのコレクターにとって特別な存在になっています。

VFAという視点で広がる時計選びの可能性

VFAはブランドの技術力と哲学が凝縮されたモデルです。その視点から時計を選ぶことで、精度・美しさ・思想に着目した選び方ができるようになります。

ここでは、VFAと他ムーブメントとの比較や、ヴィンテージ・復刻・現行モデルの違いを通じて、時計選びの楽しみ方がより広がる視点をご紹介します。

9Fクォーツやスプリングドライブとの比較で深まる理解

VFAは機械式でありながら、高精度を実現したモデルです。一方、9Fクオーツは、年差±10秒というクオーツならではの精度を持ち、実用性の高さで多くの人に選ばれています。

また、スプリングドライブは機械式の動力とクオーツの制御を組み合わせた独自機構で、月差±15秒程度の安定した精度を誇ります。

それぞれに異なる魅力があり、VFAを軸に比較することで、自分にとっての“精度と所有感”のバランスを見極める視点が得られるでしょう。

ヴィンテージ・復刻・現行品の違いを楽しむ

VFAという視点をもとにモデルを見比べると、製造年代ごとの個性や魅力が見えてきます。

ヴィンテージモデルは、当時の職人技やデザイン思想が詰まったコレクターズアイテムで、希少性も高く特別な存在です。復刻モデルは、そうしたデザインや理念を現代の技術で再構成し、美しさと実用性を両立した仕上がりが魅力。

そして現行モデルの中にも、VFAの精神を受け継ぐ高精度な「SLGH005」や「SBGX355」、「SLGH017」などが展開されています。

それぞれの違いを知ることで、より自分らしい時計選びが行えるようになります。

新作モデル・SLGB003 ― 未来へ続く「高精度」の象徴

SLGB003は、グランドセイコーの「スプリングドライブ U.F.A.(Ultra Fine Adjustment)」を初めて搭載するモデルです。

年差±20秒の精密性を実現し、かつて「VFA」が当時の最高精度と技術を象徴したように、SLGB003もまた、ブランドの革新性と精度追求の到達点として期待されています。

SLGB003は、“語り継がれる高精度モデル”として、これからの歴史を形作る1本になるでしょう。

正規販売店であるGRACISでは、こうしたモデルも含め、時計の魅力をじっくりと検討できます。

店頭はもちろんのこと、メールや電話でもグランドセイコーに精通したスタッフが対応し、モデル選びの相談やオンラインでの購入も丁寧にサポートしています。納得のいく1本を見つけたい方は、ぜひGRACISにご相談ください。

VFAの魅力を知ることは、時計選びの“軸”を持つこと

VFAは、精度・技術・美しさのすべてを追求した、グランドセイコーの中でも特別な存在です。このモデルに触れることで「良い時計」とは何かを改めて考えるきっかけが生まれるでしょう。

スペックだけでは測れない価値や、自分自身の感性に合うかどうかといった視点が自然と育まれ、時計選びにおける確かな基準が築かれていきます。

「モノを所有するのではなく、”意味を持って選ぶ”という姿勢が、VFAを通じて身につく。」それこそが、このモデルがもたらす本当の価値なのかもしれません。

GRACISオンラインショップでは、グランドセイコーの豊富な品揃えと時計に精通したスタッフが、お客様の納得のいく1本との出会いをお手伝いします。詳しい商品の情報や気になることがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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